ミトコンドリアとは?電子伝達系を解説
記事監修医師一倉絵莉子 医師
ミトコンドリアは私たちが食事から摂った栄養素と酸素を使って、細胞を動かすエネルギーであるATPを作りだしています。
その一連の仕組みをミトコンドリア電子伝達系といいます。
仕組みを詳しくみてみましょう。
ミトコンドリア電子伝達系とは?
ミトコンドリア電子伝達系とは、解糖系とTCAサイクルでつくられるNADHやFADH2が電子伝達(酸化還元)されATP(エネルギー)に変換される過程のことをいいます。
具体的には、ミトコンドリアマトリックスにある複合体IにおいてNADHから、複合体IIにおいてコハク酸から、それぞれユビキノンに電子伝達(酸化還元)されユビキノールに変化する。
複合体IIIにおいてはユビキノールからシトクロムcに電子伝達(酸化還元)。
複合体IVにおいてシトクロムcが酸化され酸素分子に電子を伝達することで水に還元されます。
この過程において3つの複合体(複合体I、複合体III、複合体IV)は、マトリックスから膜間腔にH+(プロトン)を汲み出します。
そして膜間腔に大量に溜まったH+(プロトン)がマトリックス内に勢いよく流入するエネルギーを利用してATP(エネルギー)が作り出されます。
電子伝達効率の低下はミトコンドリアの弱体化を招く
この一連の電子伝達過程において、複合体Iや複合体IIIから漏れ出る電子があります。
この漏れ出た電子により酸素分子が電子還元されスーパーオキシド(超酸化フリーラジカル)を形成します。
通常は、膜間腔に形成されたスーパーオキシドはSOD1が、マトリックスに形成されたスーパーオキシドはSOD2が酸素と過酸化水素に不均化、そして過酸化水素はグルタチオンペルオキシダーゼやペルオキシレドキシンによって水へと還元されてバランスが保たれています。
しかし怠惰な生活や加齢によりミトコンドリアが減少し働きが弱くなってくるとこのバランスが崩れ、超酸化フリーラジカルがあふれ酸化ストレスが引き起こされます。
そしてさらなるミトコンドリアの減少と弱体化、DNAの損傷、電子伝達効率の低下をもたらします。
そのため日常から運動習慣や空腹感を意識してミトコンドリアを増やし、ミネラルや栄養素の補給により電子を補い電子伝達効率を高め、ミトコンドリアの質を高めることが大切です。
参考:
厚生労働省「ミトコンドリア | e-ヘルスネット」
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/exercise/ys-054.html
株式会社エッセンシャル出版社
著者 後藤日出夫
「妊活」の新常識!ミトコンドリアで妊活健康法
東邦大学
ミトコンドリア呼吸鎖(電子伝達系)複合体と活性酸素種
https://www.toho-u.ac.jp/sci/bio/column/0790.html
生命系のための理工学基礎
https://rikei-jouhou.com/electron-transport-chain/