採卵から胚移植まで 着床率はどれくらい?

記事監修(学術部分のみ)岩橋晶子 医師

※商品の推奨をしているものではありません。

城本クリニック岐阜院院長
ゆかりレディースクリニックで婦人科外来担当

■資格
日本産婦人科学会 産婦人科専門医

体外受精(IVF)では、まず卵子を体外に取り出すための採卵を行います。
取り出された卵子は体外受精の後で培養され、適切なタイミングで子宮の中に戻す胚移植と続きます。
採卵から移植までに具体的にどんなことをするのでしょうか。
また、成功率はどのくらいなのでしょう。着床率を上げる方法はあるのでしょうか。

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採卵の流れ

採卵とは卵巣から卵子を体外に取り出すことで、排卵の直前に行います。
方法は2通りあり、自然の排卵に合わせた自然周期と薬剤で刺激をする刺激周期があります。

自然周期の場合、育つ卵子は1つなので採卵出来る卵子も1つです。
刺激周期の場合、薬剤で人工的に卵子を刺激するので複数個の卵子が育ちます。
その場合は左右の卵巣から複数の採卵が可能になるので、出来るだけ多く採卵することが目標になります。

一度排卵してしまうと、その周期では採卵することが出来ません。
そのためホルモン検査やエコーで採卵日をしっかり見極めなければならないのです。

採卵する時には、痛み止めの薬を飲むか局所麻酔を使用して痛みを感じにくくします。
排卵していないことを超音波で確認してから、専用の細い針で穿刺して卵子を取り出していくのです。
採卵にかかる時間は卵子の数によって違いますが、5個〜7個程度で10分くらいです。

受精卵の培養

採卵した卵子は、成熟しているか確認の後に胚培養士が体外受精を行って培養されます。
良好な状態まで育ったものが実際に移植される候補となりますが、この「良好な状態」とは「形態が綺麗な胚」ということです。

一定日数の培養を行った後、初期胚や胚盤胞と呼ばれる形態に育ったものの発育段階が評価されます。
未成熟な場合は移植することが出来ません。

初期胚はヴィーク分類を利用してグレードで評価されます。
1〜5段階に分けられており、グレードの数が低いほど良好な胚です。
割球の形の均一さ、フラグメントの割合から判定します。

胚盤胞はガードナー分類を利用してグレードで評価されます。
こちらは1〜6段階のクラスに分かれていて、胞胚腔の広がりの程度で判定されます。
数字が大きいほど発育が進んでいるという意味で、クラス3以上はさらに細胞の数によってABCで評価します。
将来胎児になる内細胞塊と胎盤になる栄養外胚葉をそれぞれ評価するので、例えば「4AB」というような表記となるのです。
受精卵のグレードに着目して、どの受精卵をどの段階で移植するかが検討されます。

胚移植の流れ

成長した受精卵は、胚移植によって子宮内に戻されます。

超音波で子宮を確認しながら受精卵を戻しますが、この時に2〜3時間前から尿を貯めておくように指示がある場合があります。
痛みはほぼなく、かかる時間は10分くらいです。

胚移植の種類は胚を培養する日数によって、培養から2~3日目の胚を移植する「初期胚移植」、培養から5~6日目の胚を移植する「胎盤胞移植」、また、初期胚移植と胚盤胞移植を組み合わせた「2段階移植」などさまざまな種類があります。

また、胚移植方法として、採卵後すぐに移植する「新鮮胚移植」と胚を一度凍結した後に移植する「凍結融解胚移植」があります。

日本においては胚凍結技術が発達しており、近年では新鮮胚移植よりも凍結融解胚移植のほうが高い妊娠率だといわれています。

胚移植の種類

初期胚移植培養から2~3日目の胚を移植する
胚盤胞移植培養から5~6日目の胚を移植する
2段階移植初期胚移植と胚盤胞移植の組み合わせ

移植方法

新鮮胚移植採卵後すぐに移植する
凍結融解胚移植胚を一度凍結した後に移植する

胚移植後~妊娠判定日まで

胚移植後、1〜2週間して妊娠判定を行います。
薬で黄体ホルモンを補充して着床を促し、血液検査で血中β-hCGを測定するか採尿で判定される場合がほとんどです。
ART(生殖補助医療)による妊娠、生産、流産率は以下のグラフのようになっています。


日本産科婦人科学会ARTデータブック2020年引用
https://www.jsog.or.jp/activity/art/2020data_202208.pdf

このグラフから「年齢が上がるにつれて妊娠・生産率は下がって流産率が上がる」ことがわかります。

日本生殖医学会は、考えられる原因として「加齢による卵の染色体異常や受精後の胚発育の悪化」を挙げています。

このメカニズムは今のところ明らかにされていませんが、「ミトコンドリアの機能低下と卵子・精子の老化が関係している」という研究結果が報告されています。
着床率を上げるためには卵子・精子の質を上げること、つまりミトコンドリアの機能を十分に発揮することが重要な可能性があります。

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